はじめに
障害者手帳というと、あまりいいイメージをもたれないという方もいるかもしれません。手帳を持つことで、「障がい者である」と社会にレッテルを貼られたような気がするという実際の声も聞く事もあります。敢えて障害者手帳のデメリットを挙げるとすれば、このように精神的に劣等感を感じてしまう点にあるのかもしれません。しかし、下記のようにそれを補って余りあるメリットがあることも事実です。手帳取得の条件を満たす方は、不要になれば手帳は返納できるということにも目を向けて、受けるべき時に受けられる支援を得るために、手帳というツールを先入観や偏見を持たずに積極的に活用することも検討してはいかがでしょうか。
手帳を持つことで受けられる支援
障害者手帳を取得することで、以下のような支援が受けられるようになる。
保育・教育面での減免・割引
- お子様に対して保育園での加配がつけられる
- 通学に伴う通学定期券の割引
税の控除・減免
- 所得税の控除
- 住民税の控除
- 相続税の障害者控除
- 自動車税・軽自動車税の減免
- 自動車取得税の減免
- 預貯金の非課税対象化
公共料金などの割引
- 公共交通機関の割引(鉄道、飛行機、バス、タクシーなど)
- NHKの受信料の割引・免除
- 有料道路通行料の割引
- 携帯電話の割引
- 美術館や博物館などの割引
- 駐車場料金の割引
- 粗大ごみ処理費用無料
医療面での支援
- 医療費の助成
- 車椅子や補聴器などの補装器具の助成
- リフォーム費用の助成(手すりや段差解消)
手当・年金
- 特別児童扶養手当
- 障害児福祉手当
- 特別障害者手当
- 在宅重度心身障害者手当
- 心身障害者扶養共済制度
- 障害基礎年金
- 障害厚生年金・障害手当金
手帳の種類
手帳の種類は3つあり、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳が該当する。
(厚生労働省HPより引用)
身体障害者手帳
=身体上の障害があることを示す手帳
取得するには、基本的に受傷後6カ月間を待って症状固定を確認し、医師の診断書・意見書を書いてもらう必要がある。
例えば、寝たきりや歩行困難であれば「肢体不自由」として身障者手帳の取得が可能。肢体不自由に該当する脳性麻痺の場合でもさえも6カ月待たないと認められず、必要以上に入院期間が延びることも多い。
一方で、以下のような内部障害がある場合は、医師の診断書・意見書が出れば6か月を待たずに身障者手帳の取得が可能。
・心臓・腎臓又は呼吸器の機能障害
・膀胱または直腸の機能障害
・小腸の機能障害
・HIVによる免疫機能障害
・肝臓の機能障害
例えば、人工呼吸器を装着して入れば「呼吸器機能障害」として身障者手帳を取得できる。
療育手帳
=知的障害と判定されたことを示す手帳
児童相談所又は知的障害者更生相談所で知能指数70未満の判定を受けることが条件となる。発達心理検査から得られた数値で判断。
重度(A)の基準
①知能指数が35以下であって、次のいずれかに該当する場合をいう
・食事、着脱衣、排便及び洗面等日常生活の介助を必要とする
・異食、興奮などの問題行動を有する
②知能指数が50以下であって、盲、ろうあ、肢体不自由等を有する者
埼玉県では、マルA、A、B、Cという区分で判定される。
重症心身障害とは
重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複した状態
⇒ 療育手帳の(マルA)・A + 身体障害者手帳の1級・2級
重症心身障害の認定が出ると、より多くのサービスを利用できる
- 主に重症心身障害児を対象とする児童発達支援・放課後等デイサービス
- 医療型短期入所(レスパイト)=保護者の休息
- 医療型障害児入所施設への入所
精神障害者保健福祉手帳
=一定の精神障害があることを示す手帳
事業所と契約することで受けられる支援
相談支援:居住地域の中で最適な多様なサービスを組み合わせてプランを提供してくれる
訪問系サービス:ご自宅の中でお子さんの生活支援をしてくれる
通所支援:通い先でお子さんの成長・自立支援をしてくれる
レスパイト:保護者の休息を目的とした預かり支援
最後に
通所受給者証も同様ですが、手帳の交付には時間がかかります。
- 手帳の申請書を作成する
- 病院受診し、医師の診断書発行の依頼をかける
- 後日、医師の診断書を受け取る
- 交付主体へ申請する
- 審査待ち
- 通知、交付
※審査等のため、申請から1か月から2か月程度かかる。また審査等の際に、申請書類に不備や医療機関等への内容確認が必要と認められた場合は、手帳の交付までの期間は、上記の期間以上となる場合がある。 手帳の交付を決定した場合は、交付に関するお知らせが届く。
支援を受けないと困る状態になってからでは遅いので、早め早めに動いておきましょう。
(上記支援に詳しい内容については、居住地にある役所の障害福祉課など窓口におたずねください。)
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